La saison des pluies 雨の季節

2024-06-29

Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブールの「La saison des pluies 雨の季節」

 

雨の季節

それは恋が終わるとき

鉛色の空の下

たくさんの涙が流されるだろう

憂うつな季節がまたやってくる

 

今年も梅雨の時期になりましたので、セルジュ・ゲンズブールの「La saison des pluies 雨の季節」をご紹介しましょう。

重苦しい雨の季節が呼びおこす感傷的な思い出や心情を、ゆったりと歌った曲です。

語りかけるようなゲンズブールの歌声と、ステイシー・ケントが歌う軽やかなバージョンを、聴き比べてみてください。

 

La saison des pluies 雨の季節ってどんな曲?

作詞  Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブール

作曲   Elek Bacsik エレク・バクシク

歌  Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブールStacey Kent ステイシー・ケント

発表年  1963年

Karafun 収録曲

 

歌詞はこのような内容です

 

雨の季節

恋の終わり

ベランダに座り

私がとても愛したあの子が

泣くのを見つめている

 

雨の季節

恋人たちの別れ

鉛色の空

湿った空気

涙がさらに流れることだろう

 

天候はますます重くなり

憂うつな季節が

間違いなくやってくる

 

雨の季節

恋の終わり

ベランダを離れて

私がとても愛したあの子に近づいた

 

雨の季節

恋人たちの別れ

別の誰かが来て

彼女にキスをして

唇の端についたマスカラを

消すことだろう

 

セルジュ・ゲンズブールの詩的な世界を表現した曲です

今年はずいぶん遅れていましたが、ようやく梅雨の季節になりました。

セルジュ・ゲンズブール Serge Gainsbourg の「La saison des pluies 雨の季節」は、降りつづく雨がもたらす感傷的な雰囲気の中、

過ぎ去った愛や失われた時を、重苦しい雨の日の描写に重ねあわせて歌うノスタルジックな曲。

過去の思い出や感情を呼びおこす詩的な歌詞と、ジャズの要素を取り入れたメランコリックなメロディーで、ゆったりと聴かせます。

心の内面を追求して深い意味を持たせながらさりげなく表現する、ゲンズブールの詩的才能と音楽性に惹かれます。

フランスには日本の梅雨のような雨季はありませんが、パリの5月頃は比較的雨が多いそうです。はたしてこの曲がいつ頃の季節を歌ったのかは不明ですが。

 

ハンガリー出身のジャズ・ギタリスト、エレク・バクシクが作曲しています

作曲した エレク・バクシク Elek Bacsikは、ハンガリー出身のジャズ・ギタリストでヴァイオリニスト。

ブダペスト音楽院でクラシック・ヴァイオリンを学んだ後にジャズ・ギターに転向して、ヨーロッパ各地で演奏活動を行いました。

パリに住んでいたころに、セルジュ・ゲンズブールやバルバラ、クロード・ヌガロなどのアルバムに参加。そのころゲンズブールとコラボしたのがこの作品です。

その後アメリカに渡り、クインシー・ジョーンズのアルバムに参加したり、ニューポート・ジャズ・フェスティバルで演奏するなど、様々なジャズシーンで活動したアーティストです。

 

La saison des pluies 雨の季節」の動画

語りかけるようなゲンズブールの歌声です

独特の声でゆったりと語りかけるようなゲンズブールの歌。ギターとベースだけのシンプルな伴奏に乗せて、感情的な深みが自然に伝わってきます。

La saison des pluies - Serge Gainsbourg (Remastered 2014)

 

ステイシー・ケントがオシャレにしっとりと歌っています

同じくギターをフィーチャーした伴奏ですが、夫で作曲家のジム・トムリンソン Jim Tomlinson のアレンジで、少し軽やかでオシャレになった「La saison des pluies」を、しっとりと歌うステイシー。

女性には歌いやすいと思います。私もこのバージョンで練習しました。

ステイシーについては、「Raconte-moi 教えて」の記事で少しご紹介しています。

La saison des pluies - Stacey Kent (2007)

 

ステイシー・ケントとジャズ・ギタリストのセッション動画です

EMIのバーでリラックスした雰囲気で歌うステイシー・ケントと、ジャズ・ギタリストの ジョン・パリチェッリ John Parricelli のセッション動画です。

途中にちょっと入るジム・トムリンソンのテナーサックスが素敵。

La saison des pluies - Stacey Kent, John Parricelli & Jim Thomlinson (2007)

 

エレク・バクシクのジャズ・ギター演奏でお聴きください

1963 年にパリで録音されたインストゥルメンタル・バージョンには、作曲したエレク・バクシクのギターに、

フランス人アーティストのモーリス・ヴァンデール Maurice Vander(キーボード)と、ギ・ペデルセン Guy Pedersen(ベース)が参加。

セルジュ・ゲンズブールと共に彼らの写真も紹介されています。

La saison des pluies - Elek Bacsik, Maurice Vander & Guy Pederse (1963)

 

Youtube活用メモ

一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。

画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。

「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。

Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。

※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。

 

本サイト独自の発音表記について

フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。

 

シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について

r」は「」とひらがなの赤字で表記舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。

鼻母音」は「」を添えて表記鼻から息を抜きながら発音します。

an, em, en, em」は口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「」。

②「inim, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音

③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音

 

⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。

 

リエゾンやアンシェンヌマンについて

単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。

 

「La saison des pluies 雨の季節」フランス語歌詞

単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。

同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。

 

発音・歌い方のポイント

発音のポイントをいくつかご紹介します。

〈*1〉「pluies」は押韻して語尾を「プリュイー」と発音します。「押韻」については「フランス語発音のポイント~独特の発音をする「押韻」について」で解説しています。

〈*2〉ステイシー・ケントは「Cette」を「Cet」と歌っています。

〈*3〉同じく「Celle」を「Celui」と歌っています。

 

印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)

印刷する場合は歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。

「La saison des pluies 雨の季節」歌詞(PDF)

 

ルビつきフランス語歌詞

短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。

 

「La saison des pluies 雨の季節」

 

C'est la saison des pluies  〈*1〉

セ ラ セゾ~ デ プリュイーユ

La fin des amours

ラ ファ~ デムゥー

Assis sous la véranda,

アスィ スゥ ラ ヴェダ、

je regarde pleurer

ジュ ドゥ プルォ

Cette enfant que j'ai tant aimée  〈*2〉/ cet

セット~フォ~ ク ジェ ト~

 

C'est la saison des pluies

セ ラ セゾ~ デ プリュイー

L'adieu des amants

ラディウ デモ~

Le ciel est de plomb,

ル スィエル エ ドゥ プロ~、

il y a de l'humidité dans l'air

ア ドゥ リュミディテ ド~ レー

D'autres larmes en perspective

ドォトゥオ~スペクティヴ

 

Le temps était de plus en plus lourd

ト~ エテ ドゥ プリュ ゾ~ プリュ ルゥー

Et le climat plus hostile

エ ル クリマ プリュ スティル

Il fallait bien que vienne enfin

イル ファレ ビア~ ク ヴィアンノ~ファ~

La saison maussade

ラ セゾ~ モォサドゥ

 

C'est la saison des pluies

セ ラ セゾ~ デ プリュイー

La fin des amours

ラ ファ~ デムゥー

J'ai quitté la véranda

ジェ キテ ラ ヴェ

et me suis approché

エ ム スュイ シェ

De celle que j'ai tant aimée  〈*3〉/ celui

ドゥ セル ク ジェ ト~

 

C'est la saison des pluies

セ ラ セゾ~ デ プリュイー

L'adieu des amants

ラディウ デモ~

Un autre viendra

ア~ノォトゥ ヴィア~ドゥ

qui d'un baiser effacera

キ ダ~ ベゼ エファス

Le rimmel au coin de ses lèvres

メル オ クワ~ ドゥ セ レーヴ

 

フランス語歌詞(ルビなし)

リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。

 

"La saison des pluies"

 

C'est la saison des pluies  〈*1〉

La fin des amours

Assis sous la véranda,

je regarde pleurer

Cette enfant que j'ai tant aimée  〈*2〉/ cet

 

C'est la saison des pluies

L'adieu des amants

Le ciel est de plomb,

il y a de l'humidité dans l'air

D'autres larmes en perspective

 

Le temps était de plus en plus lourd

Et le climat plus hostile

Il fallait bien que vienne enfin

La saison maussade

 

C'est la saison des pluies

La fin des amours

J'ai quitté la véranda

et me suis approché

De celle que j'ai tant aimée  〈*3〉/ celui

 

C'est la saison des pluies

L'adieu des amants

Un autre viendra

qui d'un baiser effacera

Le rimmel au coin de ses lèvres