神に祝福された聖地で
真剣に祈る3つの宗教の信者たち
愛に満ちた心がひとつになることを願う
エルサレムのクリスマス
Enrico Macias エンリコ・マシアスが歌う「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」は、
宗教の違いを超えて人々がともに祈り、真の平和が訪れることを願う歌。
今もなお世界各地で続いている紛争や戦争の、一刻でも早い終息を願いながら、
クリスマスの夜に静かに聴いていただきたい曲です。
「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」ってどんな曲?
★作詞&作曲 Enrico Macias エンリコ・マシアス、Jacques Demarny ジャック・ドゥマルニィ
★発表年 1968年
★Karafun 収録曲
歌詞はこのような内容です
エルサレムのクリスマス
失われたと思われた壁の近く
私の隣で男がひざまずき
涙を流している
そして空を見上げ
天に感謝を捧げている
エルサレムのクリスマス
モスクの入り口で
何千人もの裸足の人々が
自らの悲しみを置きにきて
夜になるまで顔を地につけて祈っている
ここで同じ瞬間に祈る手は
同じ熱意を持っているのではないか
人々は忘れてしまったのだろうか
神が彼らの心臓を鼓動させていることを
エルサレムのクリスマス
それはベツレヘムの幼子
羊飼いの星に導かれた巡礼者が
イエスの生誕の地を探し求める
エルサレムのクリスマス
それは永遠の神の前にひれ伏す世界
神の名を呼び、許しを乞う
天の道から遠く離れ迷ってしまったことを
だが、たった一度でも
愛に満ちた3人の人間の心が
祈りの中でひとつになるのを
見ることができたなら
この地球の表情は変わるだろう
エルサレムのクリスマス
再び見つけたその壁のそばで
ひざまずく男がいった
「私の人生のすべてが変わった」
エルサレムが再び地上に現れたのだから
最初に祝福された地
神がそういわれた地
私はここエルサレムで
最も素晴らしいクリスマスを迎える
ユダヤ教、イスラム教、キリスト教という3つの宗教の聖地であるエルサレム。
祝福されたこの地で、それぞれの神に真剣に祈る人々の姿が象徴的に描かれ、
異なる宗教を信仰する人々がともに平和を願い、人間愛に満ちた神の世界へ回帰することを祈る美しい歌です。
3つの宗教の融合を願うエンリコ・マシアスが歌っています
エンリコ・マシアス(本名:Gaston Ghrenassia ガストン・グレナッシア)は、
1938年にアルジェリアのコンスタンチーヌ(当時フランス領)で、スペイン・アンダルシアにルーツを持つユダヤ人の家庭に生まれました。
父親はアンダルシア古典音楽を演奏する楽団のバイオリシン奏者で、エンリコは子供のころからギターを習い、15歳で楽団のギター奏者になります。
同じ建物にユダヤ教、イスラム教、キリスト教の家族が住む環境で、それぞれの文化に自然に親しみ、互いに理解しあいながら育ちますが、
フランスからの独立をめざすアルジェリア戦争末期の1961年、23歳のときに、アラブ人からの迫害を受けるユダヤ人の一家(親族が虐殺されています)として、フランスへ移住することになります。
祖国アルジェリアを歌った曲で有名になったエンリコ・マシアス
キャバレーで歌ったり、ジルベール・ベコーのコンサートの前座をつとめたりしていましたが、
1962年、アルジェリア移民をレポートするテレビの報道番組に出演して歌った「Adieu mon pays さらば、わが祖国」が大きな反響を呼び、一躍有名に。
その後、エンリコ・マシアスという名でデビューして、オランピア劇場を始めフランス国内各地や世界各国でコンサートツアーを行い、絶大な人気を誇るようになります。
日本にも十数回来日して各地で公演。「L'amour, c'est pour rien 恋ごころ」(1964年リリース)が有名ですね。
"エンリコ"は子供のころのあだ名から、"マシアス"はレコード会社への電話で苗字を聞き間違えられたことから、つけられた名前とのこと。
エジプト・ピラミッド前のコンサートで平和を願い歌いました
アルジェリア出身のフランス人を「ピエ・ノワール」(定義が複雑かつ不正確で差別的用語のようです)と呼ぶことがあり、
本人の意思とは別にエンリコはそのシンボル的な存在でした。
彼自身は、同じくアルジェリア系フランス人の Patrick Bruel パトリック・ブリュエル同様に「ベルベル系ユダヤ人」と称しています。
彼の歌はアラブ圏では禁止されていましたが、
1978年にイスラエルとエジプトが平和条約を締結した直後に、サダト大統領の招待でピラミッドの前で2万人の聴衆に向けて歌い、平和へのメッセージを伝えました。
今もなお叶わぬ祖国アルジェリアへの帰国
アルジェリアを離れて以来、一度も故国に戻れなかったエンリコでしたが、
2000年になり、ピエ・ノワールと和解して新たな方向へ歩みだそうとした、当時のブテフリカ大統領から公式招待を受けて、アルジェリアの6都市で公演することが決まります。
ところが反対勢力により1週間前に突然キャンセルされてしまうのでした。
過去の苦しみを清算して和解する機会を失い、とても落胆したエンリコですが、今もなお祖国への帰国は許されていません。
地勢的、歴史的に民族、宗教、文化が混然一体となっている北アフリカ地域の複雑性が、
今なお続くさまざまな対立や紛争、戦争の原点となっていることを、彼の人生や歌を通して改めて知ることができました。
そんな多様なアイデンティティを持つエンリコだからこそ、その作品には、美しい愛の共同体をめざす平和共存への強い願いがこめられているのだと思います。
1997年には、当時のアナン国連事務総長から「国連平和大使」に任命されています。
「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」の動画
オランピア劇場でのコンサートライヴ動画です
57歳のマシアスが、聴衆の心と一体となって歌います。
Noël à Jérusalem - Enrico Macias (1995)
リリース直後のライヴ動画です
30歳のときにリリースして間もないころと思われるライヴ動画。音が小さく音質がよくありませんが、若かりしマシアスの姿がなつかしい。
Noël à Jérusalem - Enrico Macias
オフィシャル新音源です
ライヴはアドリブが多いので、歌を覚えるなら2007年に再リリースされたこのオフィシャル音源でどうぞ。
Noël à Jérusalem - Enrico Macias (2007)
モーリシャス出身のシャーリー・ジョンソンがしっとりと聴かせます
モーリシャス生まれのシンガーソングライター Shirley Johnson シャーリー・ジョンソンは、賛美歌やスピリチュアルな歌をジャズ風にアレンジした曲作りをしているそうです。
心地よいアレンジで、しっとりとハートフルに聴かせてくれますね。
女性が歌う場合の参考にどうぞ。
Noël à Jérusalem - Shirley Johnson (2021)
これまでにシャンソニアネットでご紹介したクリスマスソングも、改めてお聴きください
Joyeux Noël et Bonne Année !!
Merry X'mas & Happy New Year !!
Youtube活用メモ
一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。
*画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。
*「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。
*Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。
※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。
本サイト独自の発音表記について
フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。
シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について
★「r」は「ら、り、る、れ、ろ」とひらがなの赤字で表記。舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。
★「鼻母音」は「~」を添えて表記。鼻から息を抜きながら発音します。
①「an, em, en, em」は、口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音。「オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「ろ~」。
②「in, im, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音。
③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音。
⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。
リエゾンやアンシェンヌマンについて
単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。
「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」フランス語歌詞
単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。
同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。
印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)
印刷する場合は歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。
⇒「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」歌詞(PDF)
ルビつきフランス語歌詞
短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。
「Noël à Jérusalem エルサレムのクリスマス」
Noël à Jérusalem
ノエル ア ジェるザレーム
Près d'un mur
プれ ダ~ ミュる
que l'on croyait perdu
ク ロ~ クるワイエ ぺるデュ
Un homme à genoux est là,
ア~ノンマ ジュヌゥ エ ラ、
il pleure à côté de moi
イル プルォら コテ ドゥ ムワ
Et lève les yeux
エ レーヴ レズィウ
en remerciant le ciel
オ~ るメるスィオ~ ル スィエル
Noël à Jérusalem
ノエル ア ジェるザレーム
Les pieds nus aux portes des mosquées
レ ピエ ニュ オ ポるトゥ デ モスケ
Ils sont des milliers qui viennent
イル ソ~ デ ミリエ キ ヴィエンヌ
pour y déposer leurs peines
プゥり デポゼ ルァーる ペーヌ
Le visage à terre
ル ヴィザージャ テーる
jusqu'à la nuit tombée
ジュスカ ラ ニュイ ト~ベ
Ces mains qui prient au même instant ici
セ マ~ キ プり オ メーマ~スト~ イスィ
N'ont-elles pas la même ferveur
ノ~テル パ ラ メーム フェるヴァーる
Les hommes auraient-ils oubliés aussi
レゾンム オれティルゥブリエ オスィ
Que c'est Dieu
ク セ ディウ
qui fait battre leur cœur
キ フェ バトゥる ルァーる クァーる
Noël à Jérusalem
ノエル ア ジェるザレーム
C'est aussi l'enfant de Bethléem
セトスィ ロ~フォ~ ドゥ ベトゥレエム
Et le pèlerin guidé
エ ル ペルら~ ギデ
par l'étoile du berger
パる レトゥワル デュ ベるジェ
Cherche la maison
シェるシュ ラ メゾ~
de sa nativité
ドゥ サ ナティヴィテ
Noël à Jérusalem
ノエル ア ジェるザレーム
C'est le monde
セ ル モ~ドゥ
au pied de l'éternel
オ ピエ ドゥ レテるネル
Qui vient implorer son nom
キ ヴィア~ タ~プロれ ソ~ ノ~
et lui demander pardon
エ リュイ ドゥモ~デ パるド~
De s'être égaré loin
ドゥ セトゥれガれ ルワ~
des chemins du ciel
デ シュマ~ デュ スィエル
Pourtant il suffirait
プゥるト~ イル スュフィれ
de voir un jour
ドゥ ヴワーら~ ジュゥーる
S'élever dans une prière
セルヴェ ド~ズュヌ プりエーる
Le cœur
ル クァーる
de trois hommes éperdus d'amour
ドゥ トゥるワゾン メペるデュ ダムゥーる
Pour changer la face
プゥる ショ~ジェ ラ ファス
de la terre
ドゥ ラ テーる
Noël à Jérusalem
ノエル ア ジェるザレーム
Près d'un mur
プれ ダ~ ミュる
que l'on a retrouvé
ク ロ~ナ るトゥるゥヴェ
Un homme à genoux m'a dit :
ア~ノンマ ジュヌゥ マ ディ
Tout est changé dans ma vie
トゥテ ショ~ジェ ド~ マ ヴィ
Car Jérusalem
カる ジェるザレーム
est de nouveau sur terre
エ ドゥ ヌゥヴォ スュる テーる
La première ville bénie
ラ プるミエーる ヴィル ベニ
À qui le Seigneur a dit
ア キ ル セニュォーら ディ
Je ferai ici
ジュ フれ イスィ
mon plus merveilleux Noël
モ~ プリュ メるヴェイユ ノエル
À Jérusalem
ア ジェるザレーム
フランス語歌詞(ルビなし)
リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。
"Noël à Jérusalem"
Noël à Jérusalem
Près d'un mur que l'on croyait perdu
Un homme à genoux est là,
il pleure à côté de moi
Et lève les yeux en remerciant le ciel
Noël à Jérusalem
Les pieds nus aux portes des mosquées
Ils sont des milliers qui viennent
pour y déposer leurs peines
Le visage à terre jusqu'à la nuit tombée
Ces mains qui prient au même instant ici
N'ont-elles pas la même ferveur
Les hommes auraient-ils oubliés aussi
Que c'est Dieu qui fait battre leur cœur
Noël à Jérusalem
C'est aussi l'enfant de Bethléem
Et le pèlerin guidé par l'étoile du berger
Cherche la maison de sa nativité
Noël à Jérusalem
C'est le monde au pied de l'éternel
Qui vient implorer son nom
et lui demander pardon
De s'être égaré loin des chemins du ciel
Pourtant il suffirait de voir un jour
S'élever dans une prière
Le cœur de trois hommes éperdus d'amour
Pour changer la face de la terre
Noël à Jérusalem
Près d'un mur que l'on a retrouvé
Un homme à genoux m'a dit :
Tout est changé dans ma vie
Car Jérusalem est de nouveau sur terre
La première ville bénie
À qui le Seigneur a dit
Je ferai ici mon plus merveilleux Noël
À Jérusalem