それは予告なしに
皮肉な笑みを浮かべながらやってくる
何もないようだけれど確かにある
それは生きる苦しみ
何としても
それとともに生きなければ
生きることの辛さや孤独感を歌ったバルバラ Barbara の名曲「生きる苦しみ Le mal de vivre 」。
重くのしかかる「何か」の存在に、ときに絶望感を味わいながらも、
最後には、生きる喜びを見出して希望をもって生き抜こう、という強いメッセージがこめられています。
バルバラ自身の辛い幼少時の体験が深く反映された、とても美しい曲です。
「Le mal de vivre 生きる苦しみ」ってどんな曲?
★作詞&作曲 Barbara バルバラ
★歌 Barbara バルバラ
★発表年 1965年
★Karafun 収録曲 (Patrick Bruel)
歌詞はこのような内容です
それは予告なしに
遠くからやってくる
岸から岸へとさまよい
皮肉な笑みを浮かべながら
ある朝、目覚めると
何もないようにみえても
それは腰のあたりにあって
あなたを眠りに誘う
生きることの苦しみ
何としてもそれとともに
生きなければならない
それは肩に掛けることもできるし
宝石のように手に持ったり
花のようにボタンホールに挿したり
胸先につけることもできる
それは必ずしも悲惨なことではないし
ヴァルミーやヴェルダンの戦いでもない
けれども涙がまぶたを濡らす
過ぎ去った日も
来る日も
生きることの苦しみ
何としてもそれとともに
生きなければならない
ローマやアメリカからでも
ロンドンや北京
エジプトやアフリカ
あるいはサンマルタン門からでも
私たちは皆
同じように祈りを捧げ
同じ道を歩む
腰の痛みとともに
どれほど長いと感じても
彼らは手ぶらでやって来て
私たちを理解しようとするけれど
もう彼らの話は聞きたくない
もうたくさんだ
そして終わりのない夜の静寂の中
一人きりで突然考える
二度と戻ってこなかった人たちのことを
生きることの苦しみ
彼らの生きる苦しみ
彼らが何としても
生き抜かねばならなかったことを
それは予告なしに遠くからやってくる
岸から岸へとさまよい
口の端に笑みを浮かべながら
ある朝、目覚めると
何もないようにみえても
それは腰のあたりにあって
あなたを驚かす
生きる喜び
ああ、生きよう
あなたの生きる喜びを
生きる苦しみと喜びを歌ったバルバラの名曲です
人生の中で突然訪れる苦しみや絶望感…
バルバラ Barbara が歌う「生きる苦しみ Le mal de vivre」は、
生きることの辛さや孤独感を描きながら、そこから立ち上がる強さや希望を歌った美しい曲です。
バルバラの幼少期の辛い体験が反映されています
バルバラは、幼少期に戦争や父親との間の辛い体験をしており、精神的な苦悩や葛藤を生涯抱えていたことが知られています。
そのような背景がこの歌に深い感情の響きを与えていて、聴き手の心を揺さぶります。
父親との関係については、「Nantes ナントに雨が降る」の中で少し解説していますのでご参照ください。
苦しみの中にひそむ希望を歌う、人生の応援歌です
生きる苦しさをあらわすフレーズが並べられた最後に、「生きる喜び La joie de vivre」という希望のことばが登場。
どんなに辛い時でも、やがてそれを乗り越えた先に、生きることの美しさや希望を感じられる瞬間が訪れる、
痛みがあるからこそ生まれる、深い喜びを知ってほしい、という前向きなメッセージがこめられているのです。
ただ人生の辛さを嘆くだけではなく、苦しみを抱えながらも耐えて生きていく人々への応援歌。
人が辛い時期に寄り添い、絶望の中にひそむ希望や喜びを感じさせてくれる、心に深く響く素敵な作品です。
ちなみにヴァルミー、ヴェルダンの戦いとは、1792年にフランス革命軍とオーストリア・プロイセン連合軍の間で起きた戦いのこと。
フランス革命軍は、ヴェルダンでの戦いに敗れたのちに、ヴァルミーの戦いで勝利しました。
「Le mal de vivre 生きる苦しみ」の動画
バルバラのライヴ動画です
発表の翌年、ベースとアコーディオンをバックに、ピアノ弾き語りで歌うバルバラ (36歳) のライヴ動画。
Le mal de vivre – Barbara (1966)
バルバラ51歳の熱唱ライヴです
いつになく思いっきり感情をこめて、歌の内容そのままにドラマティックに歌いあげるコンサートライヴ動画。バルバラ51歳の熱唱です。
Le mal de vivre - Barbara (1981)
注目のアーティスト、アンジェリーナ・ウィズムが歌っています
2013年に音楽オーディション番組『ザ・ヴォイス』フランス版のシーズン2に出場して、
バルバラの「Mon enfance 子供のころ」を歌いセンセーションを巻き起こした注目のアーティスト、アンジェリーナ・ウィズム Angélina Wismes が歌っています。
パリ生まれの女優で歌手のアンジェリーナが、2015年のバルバラに捧げたコンサートで歌ったライヴ動画。
バックのアコーディオン演奏が素敵です。
Le mal de vivre - Angélina Wismes (2015)
パトリック・ブリュエルも歌っています
前回ご紹介した「Au café des délices 悦楽のカフェにて」のパトリック・ブリュエル Patrick Bruel も歌っています。
Karafunには彼のバージョンが入っているので、カラオケのときは私もそれに合わせて歌っています。男性が歌うときのご参考に。
バルバラへのトリビュートアルバム「Très souvent, je pense à vous(頻繁にあなたを想っています)」に収録。
Le mal de vivre - Patrick Bruel (2016)
ゆったりと歌うステイシー・ケント
フランス語の曲ばかりを収録したスティシー・ケント Stacey Kent のアルバム「Raconte-moi(教えて)」の中の1曲です。
Le mal de vivre · Stacey Kent (2010)
Youtube活用メモ
一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。
*画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。
*「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。
*Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。
※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。
本サイト独自の発音表記について
フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。
シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について
★「r」は「ら、り、る、れ、ろ」とひらがなの赤字で表記。舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。
★「鼻母音」は「~」を添えて表記。鼻から息を抜きながら発音します。
①「an, em, en, em」は、口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音。「オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「ろ~」。
②「in, im, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音。
③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音。
⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。
リエゾンやアンシェンヌマンについて
単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。
「Le mal de vivre 生きる苦しみ」フランス語歌詞
単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。
同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。
印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)
印刷する場合は歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。
⇒「Le mal de vivre 生きる苦しみ」歌詞(PDF)
ルビつきフランス語歌詞
短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。
「Le mal de vivre 生きる苦しみ」
Ça ne prévient pas
サ ヌ プれヴィア~ パ
Ça arrive
サ アりーヴ
Ça vient de loin
サ ヴィア~ ドゥ ルワ~
Ça c'est promené de rive en rive
サ セ プろムネ ドゥ りーヴォ~ りーヴ
La gueule en coin
ラ ゲェロ~ クワ~
Et puis un matin, au réveil
エ ピュイザ~ マタ~、オ れヴェイユ
C'est presque rien
セ プれスク りア~
Mais c'est là,
メ セ ラ、
ça vous ensommeille
サ ヴゥゾ~ソメイユ
Au creux des reins
オ クるゥ デ ら~
Le mal de vivre
ル マル ドゥ ヴィーヴる
Le mal de vivre
ル マル ドゥ ヴィーヴる
Qu'il faut bien vivre
キル フォ ビア~ ヴィーヴる
Vaille que vivre
ヴァイユ ク ヴィーヴる
On peut le mettre en bandoulière
オ~ プゥ ル メトゥろ~ ボ~ドゥリエーる
Ou comme un bijou à la main
ウゥ コンマ~ ビジュゥ ア ラ マ~
Comme une fleur en boutonnière
コンミュヌ フルァーろ~ ブゥトニエーる
Ou juste à la pointe du sein
ウゥ ジュスタ ラ プワントゥ デュ サ~
C'est pas forcément la misère
セ パ フォるセモ~ ラ ミゼーる
C'est pas Valmy, c'est pas Verdun
セ パ ヴァルミー、セ パ ヴェるダ~
Mais c'est des larmes aux paupières
メ セ デ ラるム ゾォ ポピエーる
Au jour qui meurt,
オ ジュゥーる キ ムァーる、
au jour qui vient
オ ジュゥーる キ ヴィア~
Ce mal de vivre
ス マル ドゥ ヴィーヴる
Ce mal de vivre
ス マル ドゥ ヴィーヴる
Qu'il nous faut bien vivre
キル ヌゥ フォ ビア~ ヴィーヴる
Vaille que vivre
ヴァイユ ク ヴィーヴる
Qu'on soit de Rome ou d'Amérique
コ~ スワ ドゥ ろーム ウゥ ダメりーク
Qu'on soit de Londres ou de Pékin
コ~ スワ ドゥ ロ~ドゥる ウゥ ドゥ ペキャ~
Qu'on soit d'Egypte ou bien d'Afrique
コ~ スワ デジプトゥ ウゥ ビア~ ダフりーク
Ou de la porte Saint-Martin
ウゥ ドゥ ラ ポるトゥ サ~マるタ~
On fait tous la même prière
オ~ フェ トゥス ラ メーム プりエーる
On fait tous le même chemin
オ~ フェ トゥス ル メーム シュマ~
Qu'il est long lorsqu'il faut le faire
キレ ロ~ ロるスキル フォ ル フェーる
Avec son mal au creux des reins
アヴェク ソ~ マロォ クるゥ デ ら~
Ils ont beau vouloir nous comprendre
イルゾ~ ボォ ヴゥルワーる ヌゥ コ~プろ~ドゥる
Ceux qui nous viennent les mains nues
スゥ キ ヌゥ ヴィア~ヌ レ マ~ ニュ
Nous ne voulons plus les entendre
ヌゥ ヌ ヴゥロ~ プリュ レゾ~ト~ドゥる
On ne peut pas, on n'en peut plus
オ~ ヌ プゥ パ、オ~ ノ~ プゥ プリュ
Et tous seuls dans le silence
エ トゥス セウル ド~ ル スィロ~ス
D'une nuit qui n'en finit plus
デュヌ ニュイ キ ノ~ フィニ プリュ
Voilà que soudain on y pense
ヴワラ ク スゥダ~ オ~ニ ポ~ス
A ceux qui n'en sont pas revenus
ア スゥ キ ノ~ ソ~ パ るヴニュ
Du mal de vivre
デュ マル ドゥ ヴィーヴる
Leur mal de vivre
ルァーる マル ドゥ ヴィーヴる
Qu'ils devaient vivre
キル ドゥヴェ ヴィーヴる
Vaille que vivre
ヴァイユ ク ヴィーヴる
Et sans prévenir,
エ ソ~ プれヴニーる、
ça arrive
サ アりーヴ
Ça vient de loin
サ ヴィア~ ドゥ ルワ~
Ça c'est promené de rive en rive
サ セ プろムネ ドゥ りーヴォ~ りーヴ
Le rire en coin
ル りーろ~ クワ~
Et puis un matin, au réveil
エ ピュイザ~ マタ~、オ れヴェイユ
C'est presque rien
セ プれスク りア~
Mais c'est là,
メ セ ラ、
ça vous émerveille
サ ヴゥゼメるヴェイユ
Au creux des reins
オ クるゥ デ ら~
La joie de vivre
ラ ジュワ ドゥ ヴィーヴる
La joie de vivre
ラ ジュワ ドゥ ヴィーヴる
Oh, viens la vivre
オ、ヴィア~ ラ ヴィーヴる
Ta joie de vivre
タ ジュワ ドゥ ヴィーヴる
フランス語歌詞(ルビなし)
リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。
"Le mal de vivre"
Ça ne prévient pas
Ça arrive
Ça vient de loin
Ça c'est promené de rive en rive
La gueule en coin
Et puis un matin, au réveil
C'est presque rien
Mais c'est là,
ça vous ensommeille
Au creux des reins
Le mal de vivre
Le mal de vivre
Qu'il faut bien vivre
Vaille que vivre
On peut le mettre en bandoulière
Ou comme un bijou à la main
Comme une fleur en boutonnière
Ou juste à la pointe du sein
C'est pas forcément la misère
C'est pas Valmy, c'est pas Verdun
Mais c'est des larmes aux paupières
Au jour qui meurt,
au jour qui vient
Ce mal de vivre
Ce mal de vivre
Qu'il nous faut bien vivre
Vaille que vivre
Qu'on soit de Rome ou d'Amérique
Qu'on soit de Londres ou de Pékin
Qu'on soit d'Egypte ou bien d'Afrique
Ou de la porte Saint-Martin
On fait tous la même prière
On fait tous le même chemin
Qu'il est long lorsqu'il faut le faire
Avec son mal au creux des reins
Ils ont beau vouloir nous comprendre
Ceux qui nous viennent les mains nues
Nous ne voulons plus les entendre
On ne peut pas, on n'en peut plus
Et tous seuls dans le silence
D'une nuit qui n'en finit plus
Voilà que soudain on y pense
A ceux qui n'en sont pas revenus
Du mal de vivre
Leur mal de vivre
Qu'ils devaient vivre
Vaille que vivre
Et sans prévenir,
ça arrive
Ça vient de loin
Ça c'est promené de rive en rive
Le rire en coin
Et puis un matin, au réveil
C'est presque rien
Mais c'est là,
ça vous émerveille
Au creux des reins
La joie de vivre
La joie de vivre
Oh, viens la vivre
Ta joie de vivre