★作詞&作曲 Barbara バルバラ
★歌 Barbara バルバラ
★発表年 1964年
「急いで面会にきてください」
という手紙をもらい
ナントの駅に初めて降り立った私
長年行方不明になっていた父が
最後に行き着いたこの町の
病院の一室の臨終の床で
私に会うことを望んでいるという
でも間に合わなかった
さよならの言葉もなく
父は逝ってしまった
あの部屋と
雨の降るナントの灰色の空を思い出すと
とても悲しくなるわ
子供時代の父親とのあるべからぬ関係を、自伝ですでに告白していたバルバラ。
その父が、放浪の果てにたどり着いた見知らぬ町で病に倒れ、再会することなく亡くなってしまったのです。
葬儀の直後から4年かけて作られたのが、この「Nantes ナントに雨が降る」という曲です。
すでに許していたとはいうものの、父親に対する複雑な心情を少しずつ整理していくのに、4年もかかってしまったのでしょう。
それだけ彼女にとっては深い思いが込められた作品なのだと思います。
歌詞に出てくる「La rue de la Grange-aux-Loups グランジョ・ルー通り」は架空の通りでしたが、
20年後に、父親の住んでいた場所の近くに実際に「La rue de la Grange-aux-Loups」が作られ、バルバラも友人のジェラール・ドパルデューと共に式典に出席しています。
リリースした年のテレビライヴです。
Nantes - Barbara (1964)
歌を覚えるのはオフィシャル音源で。
Nantes - Barbara (1964)
フランスの俳優 Gérard Depardieu ジェラール・ドパルデューが歌うというか朗読する「Nantes」。
映画「シラノ・ド・ベルジュラック」やテレビドラマ「巌窟王〜モンテ・クリスト伯」など数々の話題作で主演を演じ、
セザール賞(フランスのアカデミー賞)などで主演男優賞を受賞した渋い名優が、バルバラをどのように表現しているのでしょうか。
Nantes - Gérard Depardieu (2017)
ジェラール・ドパルデューはバルバラと生涯の友だったそうで、バルバラが作曲したオペラ「Lily Passion リリー・パッション」(1986年)で共演もしています。
その頃のものと思われる二人のツーショット写真を見つけました。
バルバラの晩年と思われる二人の写真です。
偉大な友・バルバラに敬意を表して作ったアルバム「Depardieu Chante Barbara ドパルデュー、バルバラを歌う」(2017) には、
「Nantes」のほかに「L'aigle noir」「Dis, quand reviendras-tu?」「Le soleil noir」など代表曲から14曲が、歌と朗読でカヴァーされています。
フランス語のイントネーションや表現の参考になると思います。
Youtube活用メモ
一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。
*画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。
*画面を長押し(パソコンの場合は右クリック)して「ループ再生」をオンにしましょう。
*Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。
※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。
歌う前の確認事項
歌う前に以下のことをご確認ください。できるだけ正しいフランス語を発音するために、とても大切なポイントです。
⇒ 「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」で詳しく解説していますのでご参照ください。
⇒ フランス語シャンソン初心者の方は、「フランス語で歌うシャンソン入門講座」から始めてください。
本サイト独自のルビ表記と発音について
★「r」は「ら、り、る、れ、ろ」で表記。口の奥を震わせて発音します。前後の子音によって硬い「r」と柔らかい「r」の二通りの発音があります。
★「鼻母音」については、鼻から息を抜きながら母音を発音する(口を閉じて「ン」と発音しない)ので、本サイトでは母音や子音のカタカナ表記の横に「~」を添えて鼻母音を表記しています。軽く鼻腔を閉じて息を抜くイメージです。
①「an, em, en, em」は、口を大きく縦に開けた「ア~」と「オ~」の中間のような音。青字で「オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「ろ~」と表記しています。
②「in, im, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と鼻から抜いて発音。
③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音。
リエゾンやアンシェンヌマンについて
リエゾンやアンシェヌマンしている箇所には下線を引いてあります。
日本語訳
日本語訳や曲の解説をしているお勧めのサイトはこちらです。
「Nantes ナントに雨が降る」歌詞
単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。
印刷用歌詞(PDF)
印刷する場合は歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFをダウンロードしてカラー印刷してください。
ルビつき歌詞
短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。
「Nantes ナントに雨が降る」
Il pleut sur Nantes
イル プルゥ スュる ノ~トゥ
Donne-moi la main
ドンヌ ムワ ラ マ~
Le ciel de Nantes
ル スィエル ドゥ ノ~トゥ
Rend mon cœur chagrin
ろ~ モ~ クァーる シャグら~
Un matin comme celui-là
ア~ マタ~ コンム スリュイラ
Il y a juste un an déjà
イリヤ ジュストゥ ア~ノ~ デジャ
La ville avait ce teint blafard
ラ ヴィラヴェ ス タ~ ブラファーる
Lorsque je sortis de la gare
ロるスク ジュ ソるティ ドゥラ ガーる
Nantes m'était alors inconnu
ノ~トゥ メテ タローる ア~コンニュ
Je n'y étais jamais venue
ジュ ニ エテ ジャメ ヴニュ
Il avait fallu ce message
イラヴェ ファリュ ス メサージュ
Pour que je fasse le voyage:
プゥる ク ジュ ファス ル ヴワヤージュ
"Madame, soyez au rendez-vous
"マダム、スワイエ ゾ ろ~デヴゥ
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
ヴァ~トゥサ~ク りュ ドゥラ グろ~ジョルゥ
Faites vite, il y a peu d'espoir
フェトゥ ヴィトゥ、イリヤ プゥ デスプワーる
Il a demandé à vous voir."
イラ ドゥモ~デ ア ヴゥ ヴワーる"
A l'heure de sa dernière heure
ア ルァーる ドゥサ デるニエー るゥァーる
Après bien des années d'errance
アプレ ビア~ デザネ デろ~ス
Il me revenait en plein cœur
イル ム れヴネト~ プラ~ クァーる
Son cri déchirait le silence
ソ~ クり デシれ ル スィロ~ス
Depuis qu'il s'en était allé
ドゥピュイ キル ソ~ ネテ タレ
Longtemps je l'avais espéré
ロ~ト~ ジュ ラヴェ ゼスペれ
Ce vagabond, ce disparu
ス ヴァガボ~、ス ディスパりュ
Voilà qu'il m'était revenu
ヴワラ キル メテ るヴニュ
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
ヴァ~トゥサ~ク りュ ドゥラ グろ~ジョルゥ
Je m'en souviens du rendez-vous
ジュ モ~ スゥヴィア~ デュ ろ~デヴゥ
Et j'ai gravé dans ma mémoire
エ ジェ グらヴェ ド~ マ メムワーる
Cette chambre au fond d'un couloir
セットゥ ショ~ブろ フォ~ ダ~ クゥルワーる
Assis près d'une cheminée
アスィ プれ デュヌ シュミネ
J'ai vu quatre hommes se lever
ジェ ヴュ カトろンム ス ルヴェ
La lumière était froide et blanche
ラ リュミエーれテ フるワドゥ エ ブロ~シュ
Ils portaient l'habit du dimanche
イル ポるテ ラビ デュ ディモ~シュ
Je n'ai pas posé de questions
ジュ ネ パ ポゼ ドゥ ケスティヨ~
A ces étranges compagnons
ア セゼトろ~ジュ コ~パニョ~
J'ai rien dit, mais à leurs regards
ジェ りア~ ディ、メザ ルァーる るガーる
J'ai compris qu'il était trop tard
ジェ コ~プり キレテ トろ ターる
Pourtant j'étais au rendez-vous
プゥるト~ ジェテゾ ろ~デヴゥ
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
ヴァ~トゥサ~ク りュ ドゥラ グろ~ジョルゥ
Mais il ne m'a jamais revu
メズィル ヌ マ ジャメ るヴュ
Il avait déjà disparu
イラヴェ デジャ ディスパりュ
Voilà, tu la connais, l'histoire
ヴワラ、テュ ラ コネ、リストワーる
Il était revenu un soir
イレテ るヴニュ ア~ スワーる
Et ce fut son dernier voyage
エ ス フュ ソ~ デるニエ ヴワヤージュ
Et ce fut son dernier rivage
エ ス フュ ソ~ デるニエ りヴァージュ
Il voulait avant de mourir
イル ヴゥレ タヴォ~ ドゥ ムゥりーる
Se réchauffer à mon sourire
ス れショフェ ア モ~ スゥりーる
Mais il mourut à la nuit même
メズィル ムゥりュ タラ ニュイ メーム
Sans un adieu, sans un "je t'aime"
ソ~ザ~ ナディウ、ソ~ザ~ "ジュ テーム"
Au chemin qui longe la mer
オ シュマ~ キ ロ~ジュ ラ メーる
Couché dans le jardin de pierres
クゥシェ ド~ ル ジャるダ~ ドゥ ピエーる
Je veux que tranquille il repose
ジュ ヴゥ ク トろ~キル イル るポウズ
Je l'ai couché dessous les roses
ジュ レ クゥシェ ドゥスゥ レ ろウズ
Mon père, mon père
モ~ ペーる、モ~ ペーる
Il pleut sur Nantes
イル プルゥ スュる ノ~トゥ
Et je me souviens
エ ジュ ム スゥヴィア~
Le ciel de Nantes
ル スィエル ドゥ ノ~トゥ
Rend mon cœur chagrin
ろ~ モ~ クァーる シャグら~
フランス語歌詞(ルビなし)
リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。
「Nantes」
Il pleut sur Nantes
Donne-moi la main
Le ciel de Nantes
Rend mon cœur chagrin
Un matin comme celui-là
Il y a juste un an déjà
La ville avait ce teint blafard
Lorsque je sortis de la gare
Nantes m'était alors inconnu
Je n'y étais jamais venue
Il avait fallu ce message
Pour que je fasse le voyage:
"Madame, soyez au rendez-vous
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Faites vite, il y a peu d'espoir
Il a demandé à vous voir."
A l'heure de sa dernière heure
Après bien des années d'errance
Il me revenait en plein cœur
Son cri déchirait le silence
Depuis qu'il s'en était allé
Longtemps je l'avais espéré
Ce vagabond, ce disparu
Voilà qu'il m'était revenu
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Je m'en souviens du rendez-vous
Et j'ai gravé dans ma mémoire
Cette chambre au fond d'un couloir
Assis près d'une cheminée
J'ai vu quatre hommes se lever
La lumière était froide et blanche
Ils portaient l'habit du dimanche
Je n'ai pas posé de questions
A ces étranges compagnons
J'ai rien dit, mais à leurs regards
J'ai compris qu'il était trop tard
Pourtant j'étais au rendez-vous
Vingt-cinq rue de la Grange-aux-Loups
Mais il ne m'a jamais revu
Il avait déjà disparu
Voilà, tu la connais, l'histoire
Il était revenu un soir
Et ce fut son dernier voyage
Et ce fut son dernier rivage
Il voulait avant de mourir
Se réchauffer à mon sourire
Mais il mourut à la nuit même
Sans un adieu, sans un "je t'aime"
Au chemin qui longe la mer
Couché dans le jardin de pierres
Je veux que tranquille il repose
Je l'ai couché dessous les roses
Mon père, mon père
Il pleut sur Nantes
Et je me souviens
Le ciel de Nantes
Rend mon cœur chagrin