心の奥で南の光が揺れている
野性の血とイタリアワインが混じりあうような哀しみ
波に削られた石の家
父が眠る静かな丘の上
強風のように情熱的な怒り
食後の会話のぬくもり
私は南から来た
やがてはそこへ帰っていく
Michel Sardou ミシェル・サルドゥの「Je viens du sud 南から来た私」は、
自分のルーツを大切にして、最後にはそこへ帰る、という人間の根源的なテーマを力強く歌っている曲。
サルドゥ自身の故郷である "南" の意味だけではなく、それぞれのルーツやアイデンティティを象徴する "ふるさと" について、聴き手に問いかけます。
あなたの心の奥にある "故郷"、"ルーツ" はどちらにあるでしょうか?
「人生の時計をもう一度巻きもどしたいと願う」というフレーズが心に沁みます。
「Je viens du sud 南から来た私」ってどんな曲?
★作詞 Michel Sardou ミシェル・サルドゥ, Pierre Delanoë ピエール・ドラノエ
★作曲 Jacques Revaux ジャック・ルヴォー
★歌 Michel Sardou ミシェル・サルドゥ, Chimène Badi シメーヌ・バディ
★発表年 1981年
★Karafun 収録曲
歌詞はこのような内容です
私の心のどこかに哀しみがある
野性の血とイタリアワインが混ざりあったような悲しみ
二頭立ての馬車が引く田舎の結婚式
山道を歩いて水を汲みに行く
記憶の奥深くに残っている昔の光
黒い服を着た老女が
私に光を灯してくれた
波に侵食された石造りの家
その上にある古い墓地には
傾いた十字架が並んでいる
私は南から来た
どの道をたどっても
最後にはそこへ帰ってゆく
夜になると私の声の奥で何かが叫ぶ
野性の歌とイタリアの空が混ざりあったような響き
風が吹き荒れたような激しい怒り
昼食後のとめどない会話
私は南から来た
どの道をたどっても
最後にはそこへ帰ってゆく
私の心のどこかに哀しみがある
人生の時計をもう一度巻きもどしたいと願う
水を求めて山道を歩き
休日は田舎の庭で過ごしたい
波に侵食された石造りの家
その上にある墓地には父が眠っている
私は南から来た
どの道をたどっても
最後にはそこへ帰ってゆく
故郷への深い愛と誇りを歌った曲です
「Je viens du sud 南から来た私」は、"南" に象徴される故郷や家族のルーツへの強い郷愁を歌った曲。
自身はパリで生まれたものの、父親のルーツは南フランス、母親のルーツはイタリアということで、地中海の文化や空気を誇りに感じ、南で育まれた魂をもつというサルドゥ。
彼にとって "le Sud 南" は、家族や子どもの頃のなつかしい記憶とともに、自身のアイデンティティを象徴する "永遠のふるさと" なのです。
この曲にもプロヴァンスの明るい陽射しとイタリアの情熱が息づき、
情景が目の前に広がるような抒情的な歌詞と、シンプルで印象的なメロディが調和して、サルドゥ独特の力強い歌唱が聴き手の心にストレートに響きます。
同時に、彼が語っているのは地理的な "南" だけではなく、生き方や人生観、大切な人たちとのつながりを象徴する、深い意味での "ふるさと" 。
精神的な意味を含めて人の根っこは "ふるさと" にあり、どんなに遠く離れていても必ずそこへと戻っていく...
都会化やグローバル化が進む中、単なる郷愁の歌ではなく、人がどこから来て、どこに帰るか、という人間としての根源を歌っている曲です。
ミシェル・サルドゥはフランスの国民的人気アーティストです
1947年生まれの Michel Sardou ミシェル・サルドゥ(本名:Michel Charles Sardou ミシェル・シャルル・サルドゥ)は、
両親がともに歌手で俳優という芸能一家に生まれ、幼いころから舞台や音楽の世界に囲まれて育ちました。
1960年代からシンガーソングライターとして活動を始め、1970年代に入ると次々とヒット曲を生みだしてアーティストしての地位を確立。
1980年代にはコンサートの観客動員数記録をたびたび更新する、国民的な存在となります。
社会の現実や矛盾、時代の流れや郷愁、家族・愛・人生の意味、自由や人間の尊厳などをテーマに数々の曲を発表し、ヴィクトワール音楽賞を5度受賞。
深く響く力強い低音で、物語性のある歌詞をドラマティックに表現して、多くの人々に支持されてきました。
フランスの「古きよき価値観」を象徴する保守的な視点で、ときに挑発的な表現や率直な物言いで論争をよびましたが、
人々の心に寄り添い、"社会を見つめて歌で真実を語る" 語り手として、世代を超えて愛されてきたアーティストです。
これまでに、
「En chantant 歌とともに」(こちらのページでサルドゥのプロフィールをくわしくご案内しています)と、
「Je vole ジュ・ヴォル(私は飛び立つ)」をご紹介しています。
実力派のシメーヌ・バディが歌って再ヒットしました
リリースから23年後の2004年に、シメーヌ・バディ Chimène Badi がこの曲をカバーして大ヒットしました。
両親がアルジェリア出身で、地中海的なルーツと温かい家族文化を誇りにしているシメーヌ。
柔らかくも力強い歌声と、繊細で感情豊かな表現が、この歌を新しい色に染めました。
これはただの歌じゃない。私の人生そのものなの...
彼女にとって「Je viens du sud」は単なるカバー曲ではなく、自身のアイデンティティである南への愛をこめた曲。
太陽のように温かい歌声で、聴く人の胸に誇りと希望の光を灯します。
2003年のデビュー曲 「Entre nous 私たちの間で」のヒットで一躍人気アーティストとなったシメーヌ。近いうちにこの曲もご紹介して、彼女についてくわしくご案内したいと思います。
「Je viens du sud 南から来た私」の動画
サルドゥのコンサートライヴ動画です
ブリュッセル・フォレスト・ナショナルでのコンサート。
冒頭の歌詞の順番が違っていますが、超人気を博したサルドゥのステージのスケール感と、熱狂的な聴衆の空気感が伝わってきます。
Je viens du sud - Michel Sardou (1985)
ミシェル・サルドゥのオフィシャル・オーディオです
歌を覚えるのはこちらの動画でどうぞ。
Je viens du sud - Michel Sardou (1981)
シメーヌ・バディのオフィシャル・クリップです
結婚式の場面を中心に、歌の情景を再現した温かみのある映像が美しく、曲のイメージが深まります。
ラスト部分のアレンジが原曲と少し異なっています。
Je viens du sud - Chimène Badi (2004)
シメーヌ・バディのライヴ動画です
パリ・オランピア劇場で、力強く、愛をこめて歌っています。
Je viens du sud - Chimène Badi (2005)
シメーヌとサルドゥのデュエット・ライヴ動画です
シメーヌのコンサートにミシェル・サルドゥがゲスト出演。
二人はほかにも「Musulmanes イスラム教徒の女性たち」(1984年サルドゥ作曲)をデュエットしています。
Je viens du sud - Chimène Badi et Michel Sardou (2005)
Youtube活用メモ
一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。
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*「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。
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本サイト独自の発音表記について
フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。
シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について
★「r」は「ら、り、る、れ、ろ」とひらがなの赤字で表記。舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。
★「鼻母音」は「~」を添えて表記。鼻から息を抜きながら発音します。
①「an, em, en, em」は、口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音。「オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「ろ~」。
②「in, im, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音。
③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音。
⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。
リエゾンやアンシェンヌマンについて
単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。
「Je viens du sud 南から来た私」フランス語歌詞
単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。
同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。
印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)
印刷する場合はフランス語歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。
⇒「Je viens du sud 南から来た私」歌詞PDF(ルビつき)
⇒「Je viens du sud 南から来た私」歌詞PDF(ルビなし)
ルビつきフランス語歌詞
短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。
「Je viens du sud 南から来た私」
[1]
J’ai dans le cœur, quelque part,
ジェ ド~ ル クァーる、ケルク パーる
de la mélancolie
ドゥ ラ メロ~コリー
Mélange de sang barbare
メロ~ジュ ドゥ ソ~ バるバーる
et de vin d’Italie
エ ドゥ ヴァ~ ディタリー
Un mariage à la campagne,
ア~ マりアージャ ラ コ~パーニュ、
tiré par deux chevaux
ティれ パる ドゥ シュヴォー
Un sentier dans la montagne
ア~ ソ~ティエ ド~ ラ モ~ターニュ
pour aller puiser l’eau
プゥらレ ピュイゼ ロォ
J’ai, au fond de ma mémoire,
ジェ、オ フォ~ ドゥ マ メムワーる、
des lumières d’autrefois
デ リュミエーる ドォトゥるフワ
Qu’une très vieille femme en noir
キュヌ トゥれ ヴィエイユ ファンモ~ ヌワーる
illuminait pour moi
イリュミネ プゥる ムワ
Une maison tout en pierre
ユヌ メゾ~ トゥト~ ピエーる
que la mer a rongée
ク ラ メーら ろ~ジェ
Au-dessus d’un cimetière
オードゥスュ ダ~ スィムティエーる
où les croix sont penchées
ウ レ クるワ ソ~ ポ~シェ
[Refrain]
Je viens du Sud
ジュ ヴィア~ デュ スュドゥ
Et par tous les chemins
エ パる トゥ レ シュマ~
J’y reviens
ジ るヴィア~
[2]
J’ai dans la voix, certains soirs,
ジェ ド~ ラ ヴワ、セるタ~ スワーる、
quelque chose qui crie
ケルク ショォズ キ クり
Mélange d’un chant barbare
メロ~ジュ ダ~ ショ~ バるバーる
et d’un ciel d’Italie
エ ダ~ スィエル ディタリー
Des colères monumentales
デ コレーる モニュモ~タル
que les vents m’ont soufflées
ク レ ヴォ~ モ~ スゥフレ
Des discours interminables
デ ディスクゥーる ア~テるミナブル
après le déjeuner
アプれ ル デジュネ
[Refrain]
Je viens du Sud
ジュ ヴィア~ デュ スュドゥ
Et par tous les chemins
エ パる トゥ レ シュマ~
J’y reviens
ジ るヴィア~
[3]
J’ai, quelque part dans le cœur,
ジェ、ケルク パーる ド~ ル クァーる、
de la mélancolie
ドゥ ラ メロ~コリー
L’envie de remettre à l’heure
ロ~ヴィ ドゥ るメットゥら ルァーる
les horloges de ma vie
レゾるロージュ ドゥ マ ヴィ
Un sentier dans la montagne
ア~ ソ~ティエ ド~ ラ モ~ターニュ
quand j’aurai besoin d’eau
コ~ ジョれ ブズワ~ ドォ
Un jardin dans la campagne
ア~ ジャるダ~ ド~ ラ コ~パーニュ
pour mes jours de repos
プゥる メ ジュゥーる ドゥ るポ
Une maison tout en pierre
ユヌ メゾ~ トゥト~ ピエーる
que la mer a rongée
ク ラ メーら ろ~ジェ
Au-dessus d’un cimetière
オードゥスュ ダ~ スィムティエーる
où mon père est couché
ウゥ モ~ ペーれ クゥシェ
[Refrain]
Je viens du Sud
ジュ ヴィア~ デュ スュドゥ
Et par tous les chemins
エ パる トゥ レ シュマ~
J’y reviens
ジ るヴィア~
Et par tous les chemins
エ パる トゥ レ シュマ~
J’y reviens
ジ るヴィア~
フランス語歌詞(ルビなし)
リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。
"Je viens du sud"
[1]
J’ai dans le cœur, quelque part,
de la mélancolie
Mélange de sang barbare
et de vin d’Italie
Un mariage à la campagne,
tiré par deux chevaux
Un sentier dans la montagne
pour aller puiser l’eau
J’ai, au fond de ma mémoire,
des lumières d’autrefois
Qu’une très vieille femme en noir
illuminait pour moi
Une maison tout en pierre
que la mer a rongée
Au-dessus d’un cimetière
où les croix sont penchées
[Refrain]
Je viens du Sud
Et par tous les chemins
J’y reviens
[2]
J’ai dans la voix, certains soirs,
quelque chose qui crie
Mélange d’un chant barbare
et d’un ciel d’Italie
Des colères monumentales
que les vents m’ont soufflées
Des discours interminables
après le déjeuner
[Refrain]
Je viens du Sud
Et par tous les chemins
J’y reviens
[3]
J’ai, quelque part dans le cœur,
de la mélancolie
L’envie de remettre à l’heure
les horloges de ma vie
Un sentier dans la montagne
quand j’aurai besoin d’eau
Un jardin dans la campagne
pour mes jours de repos
Une maison tout en pierre
que la mer a rongée
Au-dessus d’un cimetière
où mon père est couché
[Refrain]
Je viens du Sud
Et par tous les chemins
J’y reviens
Et par tous les chemins
J’y reviens