Le petit guépard 小さなチーター

Carla Bruni カルラ・ブルーニの「Le petit guépard 小さなチーター」

 

ある日、小さなチーターに出会った私

 

鎖につながれ怒りにふるえる美しい姿を見て

幸せにしてあげたいと手に入れた

 

優しさとやすらぎを与え

私になついたと思っていたのに

鋭い爪でひっかいて自由を求めるチーター…

 

 

Carla Bruni カルラ・ブルーニの「Le petit guépard 小さなチーター」は、自由を求めるチーターを歌った心温まる曲。

どんなに可愛がっても、小さなチーターは噛みつき、ひっかき、逃げ出そうとする。

「守ってあげたい」「そばにいてほしい」と思うけれど、本能的に自由を求める相手を完全に手なずけることはできない。

最後は手放すしかなく、それでも愛した記憶は心に残る…

 

愛とは支配することではなく、相手の気持ちを尊重して自由を与えること。

カルラがハスキーボイスであなたに優しく語りかけます。

 

 

「Le petit guépard 小さなチーター」ってどんな曲?

 

作詞   Carla Bruni カルラ・ブルーニ

作曲   Michel Amsellem ミシェル・アムぜレム

歌  Carla Bruni カルラ・ブルーニ

発表年  2020年

 

歌詞はこのような内容です

 

冬のはじまりのよく晴れた日曜日

私は小さなチーターに出あった

鎖につながれ、檻の中にいた彼は

傷ついた美しい獣のようで

その怒りがふるえるように伝わってきた

 

あの小さなチーターがほしい

みんなの目の前で連れ去ってしまおう

抱きしめ、温めて

幸せにしてあげたい

 

あの子は私のもの

なだめる術を知っているから

やさしさで包みこんで

私の足もとに身をゆだねさせたいの

 

私はその小さなチーターを手に入れた

夢を見る時間とやすらぎの夜を与えた

ゴロゴロと喉を鳴らす姿が愛おしい

 

すっかり私になついたと信じていた

でもその足先の爪は鋭くとがっていた

 

小さなチーターは噛みつき、ひっかいて

「自由がほしい」と叫ぶ

おとなしく撫でられるだけなんてまっぴらだと

 

逃げだして、まだ見ぬ何かを探したい

どんなに優しくしてあげても

彼は決して私の足もとで眠りはしない

 

恋人は私にいった

「君のチーターは

どう見てもなついていないし

あの飢えた目が何よりの証拠

 

いつかきっと、君を獲物として見る日が来る

それが彼の本能であり、歴史なんだ

運命はすでに書かれていることさ」と

 

私は小さなチーターを解き放った

傷を負ったボクサーのような姿で

ジャガーのようにしなやかに

流れるような肢体で走り去っていく

 

私はきっと恋しく思うだろう

あの美しいまだら模様の毛皮のやわらかさと

時おり私を愛してくれたときの

あの不安げな瞳を

 

 

小さなチーターが教えてくれる優しさと愛の本質を歌った曲です

Carla Bruni カルラ・ブルーニの「Le petit guépard 小さなチーター」は、物語のように心にそっと語りかけてくる曲。

人は誰かを愛するとき、「すべてを自分のものにしたい」「ずっとそばにいてほしい」と願いがちですが、それはしばしば相手の自由を奪うことにもつながります。

主人公の "小さなチーター" は単なる動物ではなく、"守ってあげたい愛する存在" の象徴であり、子どもや愛する人、あるいは私たち自身の内なる純粋さを象徴しています。

本来は力強さの象徴であるチーターが  "petit 小さな" と呼ばれていることで、「まだ世界を知らない未熟な存在」「未来ある存在」を表わすと同時に、

いつかは自分の力で走り出す日が来るという予感も含まれています。子どもが大人になっていく過程や、あるいは人が新たな人生を歩み出す瞬間をとらえているともいえるでしょう。

「走っていってもいいよ」「遠くへいっても、あなたはずっと私の心の中にいるよ」と、束縛するのではなく、自由に羽ばたかせる "手放す愛" のかたち…

愛する人を信じ、見守り、自由にさせる勇気を描いたこの曲には、親と子、恋人同士、自分と未来――あらゆる関係に当てはまる普遍的なテーマがこめられているのです。

カルラの柔らかいハスキーボイスと、ギター中心のシンプルで洗練されたアレンジによる軽やかなメロディが、この物語を優しく包みこみ、

聴く人の心を穏やかにして、懐かしい記憶や大切な人への思いを呼びおこしてくれます。

アルバム「Carla Bruni カルラ・ブルーニ」(2020年)に収録されている曲ですが、ほかにも私の好きな曲がたくさん入っているので、ぜひ聴いてみてくださいね。

 

トップモデル、元大統領夫人の顔ももつカルラ・ブルーニ

Carla Bruni カルラ・ブルーニ(本名 Carla Gilberta Bruni Tedeschi カルラ・ジルベルタ・ブルーニ・テデスキ)は、1967年にイタリア・トリノで生まれ、7歳のときに家族とともにフランスへ移住。

父親は実業家でありながらクラシックの作曲家、母親はピアニスト、姉は映画監督という芸術家一家の中で育ち、幼いころからクラシック音楽と詩、文学に親しんでいました。

19歳でファッション界に入ったカルラは、瞬く間に世界的なトップモデルの道へ。 ヴェルサーチ、シャネル、ディオールなどのランウェイに登場したり、「Vogue」や「Bazaar」などのファッション誌の表紙をたびたび飾るなど、スーパーモデルを代表する一人となりました。

しかし、彼女は表面的な華やかさだけの人生に満足せず、内面的な表現を求めて音楽の道へ転身。2002年、カルラはついにシンガーソングライターとしてデビューアルバム「Quelqu’un m’a dit 風のうわさ」を発表します。

詩のような歌詞と静かなアコースティックギターのサウンドで大きな話題となり、ヨーロッパ全土でミリオンヒットを記録したこのアルバムで、ヴィクトワール音楽賞の年間最優秀女性アーティスト賞を受賞。

その後も次々と作品を発表し、アーティストとしての評価を確立。日常の小さな瞬間や、愛、孤独など人生の深い感情を、優しく語るように歌う音楽スタイルで、人々の心を魅了しています。

 

詩的な言葉で優しく語りかけるカルラの音楽世界

2008年、カルラは当時のフランス大統領 Nicolas Sarkozy ニコラ・サルコジと結婚し、フランスのファーストレディになりましたが、公務やチャリティ活動をこなしながらも、アーティストとしての自分を大切にして音楽活動をつづけました。

(折しも、夫のサルコジ元大統領が、選挙資金に関する裁判で収監されるというニュースが流れてきたばかりですが、本人は認めておらず、カルラを含めた家族全員がサポートしているということで、一体この先どうなることやら)

カルラの音楽は、華やかなポップスとは対照的に、ギターをベースにした温かくナチュラルなアレンジで、深い詩の世界をささやくように語りかけます。

お洒落な大人の感性で、愛や別れ、人生の機微を、シンプルなことばに思いをこめて静かに表現して、まるで日記を読むような親密さとともに、聴く人の心の奥に静かにしみこんでいきます。

この「Le petit guépard」もまた、彼女の人生観と感性が凝縮された作品といえるでしょう。

派手な演出や強い主張ではなく、言葉と音楽で人の心にそっと触れることを大切にする彼女の音楽は、時代や国境を越えて多くの人々に愛されつづけています。

 

 

「Le petit guépard 小さなチーター」の動画

 

ライヴ・セッションのクリップです

私の大好きなハスキーボイスでささやくように歌うカルラ。

トップモデルとして華やかに活躍した彼女ですが、アーティストとしてはいつもさりげないファッションスタイルで、好感がもてます。

居心地のよさそうなスタジオで制作されたビデオが、心やすらぐカルラ・ワールドへと誘います。

Le petit guépard - Carla Bruni (2020)

 

アルバム「Carla Bruni カルラ・ブルーニ」

「Le petit guépard 小さなチーター」が収録されているアルバム「Carla Bruni カルラ・ブルーニ」の全13曲が紹介されているリンクです。

すでにご紹介している「Un ange 天使」や「Quelque chose 何か」など、素敵な曲がたくさん入っていますので、ぜひ一度聴いてみてくださいね。

アルバム「Carla Bruni カルラ・ブルーニ」

Album "Carla Bruni" - Carla Bruni (2020)

 

 

Youtube活用メモ

一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。

画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。

「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。

Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。

※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。

 

本サイト独自の発音表記について

フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。

 

シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について

r」は「」とひらがなの赤字で表記舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。

鼻母音」は「」を添えて表記鼻から息を抜きながら発音します。

an, em, en, em」は口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「」。

②「inim, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音

③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音

 

⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。

 

リエゾンやアンシェンヌマンについて

単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。

 

 

「Le petit guépard 小さなチーター」フランス語歌詞

単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。

同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。

 

印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)

印刷する場合はフランス語歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。

「Le petit guépard 小さなチーター」歌詞PDF(ルビつき)

「Le petit guépard 小さなチーター」歌詞PDF(ルビなし)

 

ルビつきフランス語歌詞

短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。

 

「Le petit guépard 小さなチーター」

 

[1]

C'était au début de l'hiver

セテトォ デビュ ドゥ リヴェー

Par un dimanche ensoleillé

ディモ~ショ~ ソレイエ

Que j'ai croisé mon p'tit guépard

ク ジェ クワゼ モ~ プティ ゲパー

Enchaîné, enchaîné

オ~シェイネ、オ~シェイネ

 

Il était debout dans sa cage

テ ドゥブゥ ド~ サ カージュ

Comme un joli p'tit fauve blessé

マ~ ジョリ プティ フォヴ ブレッセ

Et j'ai senti trembler sa rage

エ ジェ ソ~ティ トゥブレ サ ージュ

Sa beauté, sa beauté

サ ボォテ、サ ボォテ

 

J'le veux pour moi ce p'tit guépard

ジュル ヴゥ プゥ ムワ ス プティ ゲパー

Je vais le voler sous vos yeux

ジュ ヴェ ル ヴォレ スゥ ヴォズィ

Je vais le cajoler pour voir

ジュ ヴェ ル カジョレ プゥ ヴワー

Et j'vais le rendre heureux

エ ジュヴェ ル ドゥ

Rendre heureux-eux-eux

ドゥぅ、ウゥ、ウゥ

 

Il est à moi ce petit guépard

レタ ムワ ス プティ ゲパー

Je sais comment l'amadouer

ジュ セ コモ~ ラマドゥエ

Je vais l'envelopper de douceur

ジュ ヴェ ロ~ヴェロペ ドゥ ドゥスァー

Afin qu'il se couche à mes pieds, à mes pieds

アファ~ キル ス クゥシャ メ ピエ、ア メ ピエ

 

[2]

J'ai recueilli le p'tit guépard

ジェ キュイー ル プティ ゲパー

Je lui ai donné de quoi rêver

ジュ リュイ エ ドネ ドゥ クワ ヴェ

De quoi se prélasser au soir

ドゥ クワ ス プラセ オ スワー

Ronronner, ronronner

ネ、

 

Il était comme un coq en pâte

テ コマ~コ~ パートゥ

Je croyais bien l'avoir dompté

ジュ クワイエ ビア~ ラヴワー ド~プテ

Mais les griffes au bout de ses pâtes

メ レ グフォ ブゥ ドゥ セ パートゥ

Aiguisées, Aiguisées

エギゼ、エギゼ

 

Ça mord, ça griffe, le p'tit guépard

サ モー、サ グフ、ル プティ ゲパー

Ça crache un air de liberté

サ クシャ~ネー ドゥ リベ

Ça ne veut pas rester tranquille

サ ヌ ヴゥ パ ステ トゥキール

Se faire caresser, caresser, hey hey hey

ス フェーッセ、カッセ、エイ エイ エイ

 

Ça veut s'enfuir les petits guépards

サ ヴゥ ソ~フュイー レ プティ ゲパー

Ça cherche encore l'inespéré

サ シェショ~コー リネスペ

Et quelque soit notre douceur

エ ケルク スワ ノートゥ ドゥスァー

Jamais ils se couchent à nos pieds, à nos pieds

ジャメ イル ス クシャ ノ ピエ、ア ノ ピエ

 

[3]

Mon homme m'a dit:

ム マ ディ :

"Ton petit guépard

"ト~ プティ ゲパー

N'a pas bien l'air apprivoisé

ナ パ ビア~ レーヴワゼ

Et puis je n'aime pas son regard

エ ピュイ ジュ ネーム パ ソ~ ガー

Affamé, affamé

アファメ、アファメ

 

Un de ces jours il va vouloir

ア~ ドゥ セ ジュゥー イル ヴァ ヴゥルワー

Comme un repas te dévorer

マ~ パ トゥ デヴォ

C'est dans ses gènes dans son histoire

ド~ セ ジェヌ ド~ ソ~ストゥワー

C'est écrit chérie, c'est plié"

シェ、セ プリエ"

 

J'ai libéré mon p'tit guépard

ジェ リベ モ~ プティ ゲパー

Son allure de boxeur brisé

ソ~リュー ドゥ ボクスァー

Et sa silhouette comme une jaguar

エ サ スィルゥエットゥ コンミュヌ ジャグワー

Toute en lignes allongées, allongées, hey hey hey

トゥト~ リーニュ アロ~ジェ、アロ~ジェ、エイ エイ エイ

 

Je regretterai mon p'tit guépard

ジュ トゥ モ~ プティ ゲパー

Et sa jolie fourrure mouchetée

エ サ ジョリ フゥュー ムゥシェテ

Et l'inquiétude dans son regard

エ ラ~キエテュードゥ ド~ ソ~ ガー

Quand parfois il m'aimait

コ~フワ イル メメ

 

フランス語歌詞(ルビなし)

リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。

 

"Le petit guépard"

 

[1]

C'était au début de l'hiver

Par un dimanche ensoleillé

Que j'ai croisé mon p'tit guépard

Enchaîné, enchaîné

 

Il était debout dans sa cage

Comme un joli p'tit fauve blessé

Et j'ai senti trembler sa rage

Sa beauté, sa beauté

 

J'le veux pour moi ce p'tit guépard

Je vais le voler sous vos yeux

Je vais le cajoler pour voir

Et j'vais le rendre heureux

Rendre heureux-eux-eux

 

Il est à moi ce petit guépard

Je sais comment l'amadouer

Je vais l'envelopper de douceur

Afin qu'il se couche à mes pieds, à mes pieds

 

[2]

J'ai recueilli le p'tit guépard

Je lui ai donné de quoi rêver

De quoi se prélasser au soir

Ronronner, ronronner

 

Il était comme un coq en pâte

Je croyais bien l'avoir dompté

Mais les griffes au bout de ses pâtes

Aiguisées, Aiguisées

 

Ça mord, ça griffe, le p'tit guépard

Ça crache un air de liberté

Ça ne veut pas rester tranquille

Se faire caresser, caresser, hey hey hey

 

Ça veut s'enfuir les petits guépards

Ça cherche encore l'inespéré

Et quelque soit notre douceur

Jamais ils se couchent à nos pieds, à nos pieds

 

[3]

Mon homme m'a dit:

"Ton petit guépard

N'a pas bien l'air apprivoisé

Et puis je n'aime pas son regard

Affamé, affamé

 

Un de ces jours il va vouloir

Comme un repas te dévorer

C'est dans ses gènes dans son histoire

C'est écrit chérie, c'est plié"

 

J'ai libéré mon p'tit guépard

Son allure de boxeur brisé

Et sa silhouette comme une jaguar

Toute en lignes allongées, allongées, hey hey hey

 

Je regretterai mon p'tit guépard

Et sa jolie fourrure mouchetée

Et l'inquiétude dans son regard

Quand parfois il m'aimait