セーヌ川は恋人パリのもとへ
幸せいっぱいに向かっていく
昼も夜もせつなく歌いながら
パリ市内を蛇行して流れる
古きパリを愛おしみながら
島から島へ
チュイルリー庭園の
恋人たちのもとへと流れていく
でもやがて恋人から離れて
海へと向かうときがくる
セーヌ川を大舞台にいよいよ始まったパリ・オリンピック2024
2024年7月26日、ついにスタートしたパリオリンピック開会式典の舞台はセーヌ川。
おしゃれに装飾された橋を順にくぐりぬけながら、各国選手団を乗せた船がゆっくりと進んでいく背景には、歴史的、文化的建造物が立ち並び、
ルーブル美術館やオルセー美術館、再建中のノートルダム寺院などのランドマークや岸辺をステージに、つぎつぎと繰り広げられる映像やパフォーマンス、
トリコロールカラーの花火に包まれたオステルリッツ橋、パリコレ風ショーのランウェイとなったドゥビリ橋などなど、
ユニークな演出にフランス文化の多様性や奥行き、洗練さを感じることができました。
様々なジャンルの音楽が楽しめました
音楽的には、アコーディオン演奏による「La foule 群衆」からスタートして、
レディ・ガガを皮きりに一流アーティストたちによるダンス音楽やポップス、ヘビメタ、オペラ、ヒップホップなどあらゆるジャンルの音楽が次々と流れて、とても楽しめました。
シャンソン&フレンチポップスでは、
「La foule 群衆」(エディット・ピアフ)、
「Ça balance pas mal à paris パリでスウィング」(フランス・ギャル&ミシェル・ベルジェ)、
「Chanson sur ma drôle de vie(私の面白い人生の歌) 」(ヴェロニク・サンソン)、
「Lettre à France フランスへの手紙」(ミッシェル・ポルナレフ)、
などが流れ、
ラストは闘病中のセリーヌ・ディオンが、エッフェル塔で「Hymne à l'amour 愛の讃歌」を感動的に歌いあげる、圧巻のサプライズとなりました。
セーヌ川を主役にした2曲をご紹介します
まさにパリを象徴する大舞台となったセーヌ川をタイトルにした新旧の2曲を、続けてご紹介したいと思います。
1曲目はジャクリーヌ・フランソワが歌う「La Seine ラ・セーヌ」。
セーヌ川を恋する女性に見立てて、恋人パリへの熱き想いを三拍子のリズムにのせて歌う、ロマンティックな曲です。
「La Seine ラ・セーヌ」ってどんな曲?
★作詞 Flavien Monod フラヴィアン・モノー & Guy Lafarge ギィ・ラファルジュ
★作曲 Guy Lafarge ギィ・ラファルジュ
★歌 Jacqueline François ジャクリーヌ・フランソワ
★発表年 1948年
歌詞はこのような内容です
セーヌ川は冒険好き
シャティヨンからメリーまで
その旅心は国中をさまよう…
ジュヴィジーからショワジーまでは物憂げに
幸せな心で向かうのは
彼女が選んだ恋人のもと
彼女はせつなく歌いながら、流れ、流れ
パリに入るとすぐに蛇行して
花咲く岸のまわりをうねりながら流れる
昼も夜も歌って、歌って、歌いまくる
なぜならセーヌ川の恋人は
パリだから!
古きパリを愛おしみながら
島から島へと流れゆき
アンリ王のほほ笑みにやさしく両腕を広げる
パリ市庁舎の議員たちには無関心に
チュイルリー庭園の
恋人たちのもとへと流れていく
ポン・ヌフからパシーまで
せつなく歌いながら、流れ、流れる
ベルシーの思い出に酔って、酔って、酔いしれる
昼も夜も歌って、歌って、歌いまくる
ジグザグに歩むのは
パリに夢中だから!
でもヌイイの近くを通り過ぎるころには
気が抜けてしまう
ああ! なんて不幸なの
恋人から離れるなんて!
彼女はパリを抱きしめ
蛇行の跡を惜しみなく残して
パリを去って行く… サン=ドニで
せつなく歌いながら、流れ、流れる
嘆きの歌を夜通し歌って…
巡り、巡り、巡って
すべてが終わる海へと向かう…
彼女は歌い、歌い、歌い、歌い
パリへの愛を歌う!
セーヌ川の恋人パリは
彼女のベッドで眠っているのだから!
セーヌ川(彼女)をパリに恋する女性として描いている、とてもロマンティックな歌。
恋人パリのことを想って歌いながら、愛しい恋人にまとわりつくようにパリ市内を蛇行して流れ、流れ、やがて離れて海へと向かっていくセーヌ川。
流域の地名が散りばめられ、長年にわたりセーヌとパリの間に育まれてきた深い愛があふれるような曲です。
ジャクリーヌ・フランソワが歌っています
1922年、ジャクリーヌ・フランソワが生まれたヌイイ・シュル・セーヌは、パリ市北西に隣接する、まさに歌詞の中でセーヌ川がパリから離れる地点の地名として出てくる町です。
裕福な家庭に育ったジャクリーヌは厳しくピアノの訓練を受け、何本かの映画にエキストラ出演したのちに歌い始めます。
ラジオのオーディションに選ばれたことから本格的に歌のレッスンを受けて、エディット・ピアフなどとともにキャバレーなどに出演するようになり、プロ活動をスタート。
1948年、26歳のときに出した「マドモアゼル・ド・パリ Mademoiselle de Paris」がミリオンセラーとなり、米国ツアーを行うなど世界的に成功を収めます。
その後も数々のヒット曲を出す中で、「ポルトガルの洗濯婦たち Les Lavandières du Portugal」(1955年)が大ヒットして、ディスク賞グランプリを獲得しました。
フランスの歴史文化、経済を支えてきたセーヌ川
セーヌ川は、フランス北部を東から西へと横断して流れる、フランスを代表する川の一つ。
全長は約776キロメートルで、ブルゴーニュ地方のコート=ドール県に源を発して北西に流れ、パリを通ってノルマンディー地方のル・アーヴルで英仏海峡に注ぎます。
パリ市内を蛇行しながら流れる川沿いには、エッフェル塔やノートルダム大聖堂、ルーブル美術館、オルセー美術館など、数々の観光スポットがあり、
散策やクルーズなどレジャーの場としても、パリ市民や観光客に親しまれています。
古代ローマ時代から重要な交通路として利用され、中世にはセーヌ川沿いに多くの交易都市が発展して、フランスの経済発展に大きく寄与してきました。
そのセーヌ川で開催されたパリオリンピック開会式典に、一番驚き、そして喜んだのはセーヌ自身ではないでしょうか?
「La Seine ラ・セーヌ」の動画
セーヌ川の美しい岸辺風景を楽しみながらお聴きください
オリジナル音源をバックに、美しいセーヌ川の岸辺風景が映されている動画です。
オリンピック開会式典では、いつもとは趣きの異なるセーヌ川の風景が見られました。
La Seine - Jacqueline François (1948)
ジャクリーヌ・フランソワのライヴ動画でお聴きください
テレビの音楽番組で歌っている珍しいライヴ動画。48歳のジャクリーヌです。
La Seine - Jacqueline François (1970)
Youtube活用メモ
一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。
*画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。
*「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。
*Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。
※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。
本サイト独自の発音表記について
フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。
シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について
★「r」は「ら、り、る、れ、ろ」とひらがなの赤字で表記。舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。
★「鼻母音」は「~」を添えて表記。鼻から息を抜きながら発音します。
①「an, em, en, em」は、口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音。「オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「ろ~」。
②「in, im, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音。
③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音。
⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。
リエゾンやアンシェンヌマンについて
単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。
「La Seine ラ・セーヌ」フランス語歌詞
単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。
同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。
印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)
印刷する場合は歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。
ルビつきフランス語歌詞
短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。
「La Seine ラ・セーヌ」
La Seine est aventureuse
ラ セーネ タヴォ~テュるゥズ
De Châtillon à Méry,
ドゥ シャティヨ~ ア メりー、
Et son humeur voyageuse
エ ソ~ニュムァーる ヴォイヤジュゥズ
Flâne à travers le pays ...
フラーナ トゥらヴェるル ペイ…
Elle se fait langoureuse
エル ス フェ ロ~グゥるゥズ
De Juvisy à Choisy
ドゥ ジュヴィズィ ア シュワズィ
Pour aborder, l'âme heureuse,
プゥらボるデ、ラームゥるゥズ、
L'amoureux qu'elle a choisi !
ラムゥるゥ ケラ シュワズィ!
Elle roucoule, coule, coule
エル るゥクゥル、クゥル、クゥル
Dès qu'elle entre dans Paris !
デ ケロ~トゥる ド~ パり!
Elle s'enroule, roule, roule
エル ソ~るゥル、るゥル、るゥル
Autour de ses quais fleuris !
オトゥーる ドゥ セ ケ フルォり!
Elle chante, chante, chante, chante,
エル ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、
Chant' le jour et la nuit,
ショ~トゥ ル ジュゥーれ ラ ニュイ、
Car la Seine est une amante
カる ラ セーネ ユナモ~トゥ
Et son amant c'est Paris !
エ ソ~ナモ~ セ パり!
Elle traîne d'île en île,
エル トゥれーヌ ディロ~ニィル、
Caressant le Vieux Paris,
カれソ~ ル ヴィウ パり、
Elle ouvre ses bras dociles
エルゥヴる セ ブら ドスィル
Au sourire du roi Henri...
オ スゥりーる デュ るワ オ~り…
Indifférente aux édiles
ア~ディフェろ~トォ ゼディル
De la mairie de Paris,
ドゥ ラ メり ドゥ パり、
Elle court vers les idylles
エル クゥーる ヴェる レズィディル
Des amants des Tuileries !
デザモ~ デ テュイルりー!
Elle roucoule, coule, coule
エル るゥクゥル、クゥル、クゥル
Du Pont-Neuf jusqu'à Passy !
デュ ポ~ヌゥフ ジュスカ パスィ!
Elle est soûle, soûle, soûle
エレ スゥル、スゥル、スゥル
Au souvenir de Bercy !
オ スゥヴニーる ドゥ ベるスィ!
Elle chante, chante, chante, chante,
エル ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、
Chant' le jour et la nuit...
ショ~トゥ ル ジュゥーれ ラ ニュイ…
Si sa marche est zigzagante
スィ サ マるシェ エ ズィグザゴ~トゥ
C'est qu'elle est grise à Paris !
セ ケレ グりィズ ア パり!
Mais la Seine est paresseuse,
メ ラ セーネ パるスゥズ、
En passant près de Neuilly,
オ~ パソ~ プれ ドゥ ヌゥイイ、
Ah ! comme elles est malheureuse
ア! コンメレ マルゥるゥズ
De quitter son bel ami !
ドゥ キテ ソ~ ベラミ!
Dans un étreinte amoureuse
ド~ザ~ ネトゥら~ タムゥるゥズ
Elle enlace encore Paris,
エロ~ラ ソ~コーる パり、
Pour lui laisser, généreuse,
プゥる リュイ レセ、ジェネるゥズ、
Une boucle ... à Saint-Denis !
ユヌ ブゥクル… ア サ~ドゥニ!
Elle roucoule, coule, coule
エル るゥクゥル、クゥル、クゥル
Sa complainte dans la nuit...
サ コ~プラ~トゥ ド~ ラ ニュイ…
Elle roule, roule, roule
エル るゥル、るゥル、るゥル
Vers la mer où tout finit...
ヴェる ラ メーる ウゥ トゥ フィニ…
Elle chante, chante, chante, chante,
エル ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、ショ~トゥ、
Chant' l'amour de Paris !
ショ~トゥ ラムゥーる ドゥ パり!
Car la Seine est une amante
カる ラ セーネ テュナモ~トゥ
Et Paris dort dans son lit !
エ パり ドーる ド~ ソ~ リ!
フランス語歌詞(ルビなし)
リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。
"La Seine"
La Seine est aventureuse
De Châtillon à Méry,
Et son humeur voyageuse
Flâne à travers le pays ...
Elle se fait langoureuse
De Juvisy à Choisy
Pour aborder, l'âme heureuse,
L'amoureux qu'elle a choisi !
Elle roucoule, coule, coule
Dès qu'elle entre dans Paris !
Elle s'enroule, roule, roule
Autour de ses quais fleuris !
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' le jour et la nuit,
Car la Seine est une amante
Et son amant c'est Paris !
Elle traîne d'île en île,
Caressant le Vieux Paris,
Elle ouvre ses bras dociles
Au sourire du roi Henri...
Indifférente aux édiles
De la mairie de Paris,
Elle court vers les idylles
Des amants des Tuileries !
Elle roucoule, coule, coule
Du Pont-Neuf jusqu'à Passy !
Elle est soûle, soûle, soûle
Au souvenir de Bercy !
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' le jour et la nuit...
Si sa marche est zigzagante
C'est qu'elle est grise à Paris !
Mais la Seine est paresseuse,
En passant près de Neuilly,
Ah ! comme elles est malheureuse
De quitter son bel ami !
Dans un étreinte amoureuse
Elle enlace encore Paris,
Pour lui laisser, généreuse,
Une boucle ... à Saint-Denis !
Elle roucoule, coule, coule
Sa complainte dans la nuit...
Elle roule, roule, roule
Vers la mer où tout finit...
Elle chante, chante, chante, chante,
Chant' l'amour de Paris !
Car la Seine est une amante
Et Paris dort dans son lit !