Göttingen ゲッティンゲン

Barbara バルバラの「Göttingen ゲッティンゲン」

 

セーヌ川もヴァンセンヌの森もないけれど

ゲッティンゲンには美しいバラが咲いている

 

パリでもゲッティンゲンでも子どもたちは同じ

 

血と憎しみの時代が二度と戻ってきませんように

ゲッティンゲンには私が愛する人たちがいるんですもの

 

 

Barbara バルバラが歌う「Göttingen ゲッティンゲン」は、戦争による憎しみを超えて和解と平和を願うメッセージがこめられた美しい曲。

ユダヤ人として受けた苦しみの体験をもつバルバラが歌ったことが大きな意味をもって反響が広がり、

その後のフランスとドイツを中心としたヨーロッパ統合への道につながった曲です。

今もなお世界各地で戦争や紛争が絶えないのは本当に悲しいことです。

一日も早くすべての戦火が消えることを祈りながら、お聴きくださいませ。

 

Göttingen ゲッティンゲンってどんな曲?

 

作詞&作曲  Barbara バルバラ

歌  Barbara バルバラ

発表年  1964年

Karafun 収録曲 (Patrick Bruel ver.)

 

歌詞はこのような内容です

 

もちろんここにセーヌ川はないし

ヴァンセンヌの森もないわ

けれどゲッティンゲンはとても美しい

 

嘆き悲しみつづける岸辺も歌もないけれど

ゲッティンゲンでは愛の花が咲いている

 

彼らはフランスの王たちの歴史を

私たちよりもよく知っていると思う

ゲッティンゲンでは

ヘルマンもペーターも、ヘルガもハンスもね  ※1

 

どうか怒らないでほしいのだけれど

私たちの子ども時代の物語

「むかしむかし」は

ゲッティンゲンで始まるのよ  ※2

 

もちろん私たちにはセーヌ川があるし

ヴァンセンヌの森もある

でもゲッティンゲンのバラはなんて美しいのかしら

 

私たちには青白い朝があるし

ヴェルレーヌの灰色の魂もあるけれど

ゲッティンゲンはまさに憂愁そのもの

 

何も話さなくても

彼らはただそこにいて微笑みかける

それでも私たちは理解できる

ゲッティンゲンの金髪の子どもたちを

 

驚く人がいるかもしれないけれど

どうか許してほしいの

パリでもゲッティンゲンでも

子どもたちは同じだということを

 

ああ、どうか血と憎しみの時代が

二度と戻ってきませんように

だってゲッティンゲンには

私が愛する人たちがいるのだから

 

もし警鐘が鳴り響いて

再び武器を取らねばならないとしたら

ゲッティンゲンのために

私の心は涙を流すでしょう

 

※1  "Herman, Peter, Helga et Hans ヘルマン、ピーター、ヘルガ、ハンス" はポピュラーなドイツ人の名前をさすことから、ゲッティンゲンでは誰もが知っているだろうというニュアンス。バルバラはフランス語風に発音しています。

※2 「むかしむかし」のくだりは、「グリム童話集」の編纂者であるグリム兄弟が、ゲッティンゲン大学の教授だったことから。

 

戦後フランスとドイツの和解を願い、平和の象徴となった作品です

第二次世界大戦の痛ましい記憶がまだ鮮明に残っていた1960年代。フランスとドイツは戦争で深く傷つき、依然として憎しみや不信感が色濃く存在していました。

ユダヤ系のために、戦争中にナチスによる迫害から逃れる苦しみを経験したバルバラでしたが、1964年、ためらいながらもドイツの大学都市ゲッティンゲンでコンサートを行うことを受けいれます。

そこで彼女は温かい歓迎と子どもたちの笑顔に出会い、人々の優しさと誠実さに深く心を打たれたのでした。

その感動から、戦争で引き裂かれた人々の心をつなぎ直し、憎しみを超えて和解と平和を願うメッセージをこめて歌いあげたのが、この「Göttingen ゲッティンゲン」です。

同時に、過去の苦しみと恐怖を忘れて再び同じ悲劇を繰り返さないように、という強いメッセージもこめられています。

発表当時、この曲はフランスとドイツの両方で大きな反響を呼び、1963年に締結されたエリゼ条約(仏独協力条約)とも共鳴して、芸術的にも政治的にも「仏独和解」の象徴となったのでした。

その後、フランスとドイツはヨーロッパ統合の中心的な存在となっていきます。

そして今もなお "平和を象徴する歌" として人々に歌いつがれている、とても美しい曲です。

 

Göttingen ゲッティンゲン」の動画

 

バルバラの数少ない貴重なライヴ動画です

テレビスタジオでの音楽ライブ番組から。1960年代のファッションや雰囲気が興味深い動画です。

Göttingen - Barbara (1967)

 

オフィシャル音源です

歌を覚えるなら、2022年に再リリースされた音質のよいオフィシャル音源でどうぞ。私が好きではないヴァイオリン演奏が省かれている、ピアノ伴奏だけのヴァージョンです。

Göttingen - Barbara (1965)

 

パトリック・ブリュエルも歌っています

私は Karafun に収録されている Patrick Bruel パトリック・ブリュエルのバージョンで歌っています。

2016年、パリ・シャトレー劇場でバルバラに捧げたコンサートのライブアルバム「Bruel Barbara - Le Châtelet」に、「Vienne ウィーンにて」や「 Ma plus belle histoire d'amour わが麗しき恋物語」などとともに収録されています。

Göttingen – Patrick Bruel (2016)

 

カルラ・ブルーニと "ピアノ界のビヨンセ" の心に響くコラボレーションです

ロシアに侵略されているウクライナを支援する音楽番組からのライヴ動画。

私が大好きな Carla Bruni カルラ・ブルーニの、いつものように飾らない歌声はもちろんですが、

Khatia Buniatishvili カティア・ブニアティシヴィリの繊細で華麗なピアノがとても素敵で、心に響きます。

カティアはジョージア(グルジア)出身のピアニストで、"クラシック・ピアノ界のビヨンセ" といわれ、10歳のときから世界ツアーコンサートを行っている才能の持ち主。

Göttingen - Carla Bruni & Khatia Buniatishvili (2022)

 

 

Youtube活用メモ

一緒に歌う場合は、テンポを遅めにしたり、ループ再生にすると便利です。

画面をクリックすると右下に出る「歯車マーク」をクリックして、「再生速度」を 0.75 か 0.5 に設定しましょう。

「歯車マーク」の「その他のオプション」(パソコンの場合は右クリック)から「ループ再生」をオンにしましょう。

Youtubeサイトに移動せずに本サイト上で再生するとCMが入りません。

※すぐ歌われる場合は、こちらをクリックしてください。

 

本サイト独自の発音表記について

フランス語をできるだけ正しく発音するために、次のことをご確認ください。

 

シャンソニアネット独自のルビ表記と発音について

r」は「」とひらがなの赤字で表記舌先を下の歯の裏に当てて、喉を震わせて発音します。

鼻母音」は「」を添えて表記鼻から息を抜きながら発音します。

an, em, en, em」は口を大きく縦に開けた「オ」の形で「ア~」と発音オ~」「コ~」「ソ~」「ト~」など青字で表記。「r」につくときは「」。

②「inim, ein, ain, un, um」は口を横に開いた「エ」の形で「ア~」と発音

③「on, om」は、口を丸くすぼめて鼻から「オ~」と発音

 

⇒ その他の発音など、詳しくは「フランス語発音のポイント」「本サイトのルビについて」「歌う前の準備~歌ってみよう」をご参照ください。

 

リエゾンやアンシェンヌマンについて

単語を続けて発音する「リエゾンやアンシェヌマン」の箇所には下線を引いてあります。歌手により異なる場合もあります。

 

「Göttingen ゲッティンゲン」フランス語歌詞

単語一つずつではなく、歌のメロディやフレーズに合わせてルビの区切りを入れてあります。

同じ歌手でもアレンジやバージョンによって、また別の歌手が歌う場合なども、歌詞が異なる場合があります。

 

発音・歌い方のポイント

〈*1〉"Göttingen" の "ö" はドイツ語の発音で、口を "オ" の形にして "エ" と発音するので、"ゴ" と "ゲ" の中間のような発音 "ゴェッティンゲン" になります。

 

印刷用歌詞 PDF(ルビつき&ルビなし)

印刷する場合はフランス語歌詞(ルビつき&ルビなし)のPDFを下記よりダウンロードしてカラー印刷してください。

「Göttingen ゲッティンゲン」歌詞PDF(ルビつき)

「Göttingen ゲッティンゲン」歌詞PDF(ルビなし)

 

ルビつきフランス語歌詞

短めにフレーズを区切って表記していますが、スマホの場合は画面を横長にしてスクロールしながらご覧ください。

 

「Göttingen ゲッティンゲン」

 

Bien sûr, ce n′est pas la Seine

ビア~ スュー、ス ネ パ ラ セーヌ

Ce n'est pas le bois de Vincennes

ス ネ パ ル ブワ ドゥ ヴァ~センヌ

Mais c′est bien joli tout de même

メ セ ビア~ ジョリ トゥ ドゥ メーム

À Göttingen, à Göttingen  〈*1〉

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Pas de quais et pas de rengaines

パ ドゥ ケ エ パ ドゥ ゲーヌ

Qui se lamentent et qui se traînent

キ ス ラモ~トゥ エ キ ス トゥーヌ

Mais l'amour y fleurit quand même

メ ラムゥー イ フルァ コ~ メーム

À Göttingen, à Göttingen

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Ils savent mieux que nous, je pense

イル サヴ ミウ ク ヌゥ、ジュ ポ~

L'histoire de nos rois de France

リストゥワー ドゥ ノ ワ ドゥ フ

Herman, Peter, Helga et Hans

マ~、ペテ、エルガ エ オ~

À Göttingen

ア ゴェッティンゲン

 

Et que personne ne s′offense

エ ク ペヌ ヌ ソフォ~

Mais les contes de notre enfance

メ レ コ~トゥ ドゥ ノートゥフォ~

"Il était une fois" commence

"イテュヌ フワ" コモ~

À Göttingen

ア ゴェッティンゲン

 

Bien sûr nous, nous avons la Seine

ビア~ スュー ヌゥ、ヌゥヴォ~ ラ セーヌ

Et puis notre bois de Vincennes

エ ピュイ ノートゥ ブワ ドゥ ヴァ~センヌ

Mais Dieu que les roses sont belles

メ ディウ ク レ ーズ ソ~ ベル

À Göttingen, à Göttingen

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Nous, nous avons nos matins blêmes

ヌゥ、ヌゥヴォ~ ノ マタ~ ブレーム

Et l′âme grise de Verlaine

エ ラーム グズ ドゥ ヴェレーヌ

Eux c'est la mélancolie même

ウゥ セ ラ メロ~コリィ メーム

À Göttingen, à Göttingen

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Quand ils ne savent rien nous dire

コ~ティル ヌ サヴ ア~ ヌゥ ディー

Ils restent là à nous sourire

イル ストゥ ラ ア ヌゥ スゥ

Mais nous les comprenons quand même

メ ヌゥ レ コ~プノ~ コ~ メーム

Les enfants blonds de Göttingen

ゾ~フォ~ ブロ~ ドゥ ゴェッティンゲン

 

Et tant pis pour ceux qui s′étonnent

ト~ ピ プゥ スゥ キ セト

Et que les autres me pardonnent

エ ク レゾォトゥ ム パ

Mais les enfants ce sont les mêmes

メ レゾ~フォ~ ス ソ~ レ メーム

À Paris ou à Göttingen

ア パ ウゥ ア ゴェッティンゲン

 

Oh faites que jamais ne revienne

オ フェトゥ ク ジャメ ヌ ヴィエンヌ

Le temps du sang et de la haine

ト~ デュ ソ~ エ ドゥ ラ エーヌ

Car il y a des gens que j'aime

ア デ ジョ~ ク ジェーム

À Göttingen, à Göttingen

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Et lorsque sonnerait l′alarme

エ ロスク ソヌ ララ

S'il fallait reprendre les armes

スィル ファレ ドゥ

Mon cœur verserait une larme

モ~ クァー ヴェ テュヌ ラ

Pour Göttingen, pour Göttingen

プゥ ゴェッティンゲン、プゥ ゴェッティンゲン

 

La la la la la…

ラ ラ ラ ラ ラ…

 

Mais c′est bien joli tout de même

メ セ ビア~ ジョリ トゥ ドゥ メーム

À Göttingen, à Göttingen

ア ゴェッティンゲン、ア ゴェッティンゲン

 

Et lorsque sonnerait l′alarme

エ ロスク ソヌ ララ

S'il fallait reprendre les armes

スィル ファレ ドゥ

Mon cœur verserait une larme

モ~ クァー ヴェ テュヌ ラ

Pour Göttingen, pour Göttingen

プゥ ゴェッティンゲン、プゥ ゴェッティンゲン

 

 

【Patrick Bruel バージョン】

La la la la la… 以下は、次のドイツ語の歌詞になります。

 

Was ich nun sage,

ヴァス イッヒ ヌン ザーグァ、

das klingt freilich

ダス クリント フライッヒ

Für manche Leute unverzeilich

フル マンヒュ ロイト ウンフェルツァイリッヒ

Die Kinder sind genau die Gleichen

ディ キンダー ズィントゥ ゲノー ディ グライヒェン

In Paris wie in Göttingen

イン パリース ヴィ イン ゴェッティンゲン

 

 

フランス語歌詞(ルビなし)

リエゾン、アンシェンヌマンの箇所に下線をつけてあります。

 

"Göttingen"

 

Bien sûr, ce n′est pas la Seine

Ce n'est pas le bois de Vincennes

Mais c′est bien joli tout de même

À Göttingen, à Göttingen 〈*1〉

 

Pas de quais et pas de rengaines

Qui se lamentent et qui se traînent

Mais l'amour y fleurit quand même

À Göttingen, à Göttingen

 

Ils savent mieux que nous, je pense

L'histoire de nos rois de France

Herman, Peter, Helga et Hans

À Göttingen

 

Et que personne ne s′offense

Mais les contes de notre enfance

"Il était une fois" commence

À Göttingen

 

Bien sûr nous, nous avons la Seine

Et puis notre bois de Vincennes

Mais Dieu que les roses sont belles

À Göttingen, à Göttingen

 

Nous, nous avons nos matins blêmes

Et l′âme grise de Verlaine

Eux c'est la mélancolie même

À Göttingen, à Göttingen

 

Quand ils ne savent rien nous dire

Ils restent là à nous sourire

Mais nous les comprenons quand même

Les enfants blonds de Göttingen

 

Et tant pis pour ceux qui s′étonnent

Et que les autres me pardonnent

Mais les enfants ce sont les mêmes

À Paris ou à Göttingen

 

Oh faites que jamais ne revienne

Le temps du sang et de la haine

Car il y a des gens que j'aime

À Göttingen, à Göttingen

 

Et lorsque sonnerait l′alarme

S'il fallait reprendre les armes

Mon cœur verserait une larme

Pour Göttingen, pour Göttingen

 

La la la la la…

 

Mais c′est bien joli tout de même

À Göttingen, à Göttingen

 

Et lorsque sonnerait l′alarme

S'il fallait reprendre les armes

Mon cœur verserait une larme

Pour Göttingen, pour Göttingen

 

 

【Patrick Bruelバージョン】

La la la la la… 以下は、次のドイツ語の歌詞になります。

 

Was ich nun sage,

das klingt freilich

Für manche Leute unverzeilich

Die Kinder sind genau die Gleichen

In Paris wie in Göttingen